Jennie E. Brand and Yu Xie "Who Benefits Most from College? Evidence for Negative Selection in Heterogeneous Economic Returns to Higher Education"

Iゼミ用。


大卒学歴が将来の収入に与える影響についての論文。


経済学の分野では、合理的選択理論にもとづいて、利益を追求するために、大卒学歴が収入へ与える効果が最も大きいのは大学進学しやすい人々においてであると考える(らしい)。


大学進学を選択するのは、収益率が高いと考えるからだ、といえるからである。


しかし、本稿では大学へ進学することには経済合理性のみでなく、個々人の社会的背景に基づく規範が影響していると考え、むしろ「大卒学歴が収入へ与える効果が最も大きいのは大学へ進学しにくい人々においてである」という仮説をたてる。


そしてその検証のために、大学進学の選択における傾向スコアを算出して、傾向スコアの層別に大卒学歴の収入に対する効果をみる、といった論文である。


傾向スコアについてほとんど知らなかったのだが、これはわりと使えそうだ。


社会学にかぶれた自分からすれば、ある意味当然すぎる結論のような気もするが、なかなか面白い論文だった。


あ、でも線形回帰が有意でないなら、実証できた範囲も狭いんじゃないかな。