2011-08-01から1ヶ月間の記事一覧

末冨芳『教育費の政治経済学』

筆者の博論をまとめたもの。 教育費における、公私の負担構造に着目し、その負担の時系列的推移と変化、「公私混合型教育費負担構造」の出現の原因を検討したもの。 私費負担が増加していることはよく言われているが、実は一人あたりの公費負担も増加してき…

矢野眞和『「習慣病」になったニッポンの大学――18歳主義・卒業主義・親負担主義からの開放――』

教育について考える黄色本シリーズ。 このシリーズを読むのは、広田・伊藤両先生の本、児美川先生の本についで3冊目だが、どの本も自分が勉強になるだけでなく、ほかの人にも読んで欲しい、と思うような本だった。 さて、本著だが、著者の教育に対する経済学…

中村高康『大衆化とメリトクラシー――教育選抜をめぐる試験と推薦のパラドクス』

著者の博論を加筆修正したもの。 筆者が指摘する通り、教育と選抜や大学進学を語るときにその対象とされるのは、ほとんどが学力試験・エリート選抜で、大学入学者の3割を超えるらしい推薦入試(AO含む)についてはほとんど論じられてこなかった。筆者はその…

トーマス・マン『魔の山』

ふと思い立って購入。いわゆるビルドゥングスロマン小説。セテムブリーニをそれほど好きではないのに(念の為にいっておくと、だからといってナフタに共感するわけではない)、ペーペルコルンが出てきた途端に、セテムブリーニ・ナフタ両氏と共同戦線を張り…