1年ぶりの更新。今年は本をつまみ読みすることが多くなったので、読んだ冊数はだいぶ減った。 ブクログによれば、69冊と、昨年から30冊近く減っている。5月が一番読んでいて、12冊。10月が1冊、12月が2冊と少ない。今年読んだ本での個人的なベストを考えると…
ブクログを確認する限り、2015年に、雑誌やマンガを除き、98冊を読んだらしい。 残念ながら100冊には届かなかったものの、2013年が67冊、2014年が86冊ということを考えれば、相対的によく読んだ方だと思う。 月ごとに見て多いのは、4月と7月の13冊が多くて、…
コリンズの社会学入門的著作。文庫本で買い直したので読み直し。1章で、社会学的な考え方として、契約・合理的社会の「非合理的基盤=人々の非合理的な連帯意識」について説明をした後、宗教・権力・犯罪・恋愛について、1章で論じた「非合理的基盤」の考え…
チェ・ゲバラの若き日の旅行記を元にした映画。ケルアックの『オン・ザ・ロード』みたいな話かなと思って見始めたのだけど、そこは革命に奉じたゲバラの旅行記、共産主義者やハンセン病患者など、弱者と南米の現実が描かれている。終盤、ハンセン病患者を収…
表題作「玩具修理者」と、中編「酔歩する男」の2篇を収録。 「玩具修理者」は始まりから不穏。喫茶店の2人の男女、昼間ずっとサングラスをかけている理由を尋ねられた女性が、 子供の頃に体験した「玩具修理者」とのことについて語り始める。・・・衝撃。 プ…
日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞した表題作を含む5作を掲載した短篇集。謎が明らかになっていくミステリとしての側面もさることながら、やはり短編それぞれに花を表象として展開される恋愛と叙情の繊細な描写がよい。もちろん感情がそのまま記述される…
第1回ハヤカワSFコンテスト大賞受賞作。無人探査機のAIである主人公の、探査の途中で出会った他のAIや自らが生み出した知性体Dとの情報交換(コミュニケーション)の物語に、地球にいた頃の常に何かを求めていた恋人みずはのエピソードが挿入される。 みずは…
クリスティのノンシリーズ物。 娘の看病のためにバグダッドを訪れ、そこからイギリスに戻る途中の、「理想の家庭」を作り上げてきた中年女性が、大雨の影響で途中での滞在を余儀なくされ、物思いにふけるうちに、これまでの人生に対する認識が反転し…。主人…
プロローグのアジテーションが好き。欧米では教養が必須で、みたいな話はよく聞くけれど、 なぜ「教養」が必要なのかは分かるようで分からなかった。この本のプロローグで書かれているように、「教養って価値判断のベースになるもの」だからってのは一つの回…
時間ができたので、新書を読む。高学歴ワーキングプア析出の背景やその実態を多少踏まえつつ、社会や学校法人への恨みつらみを書いた本。 正直、そう学校法人や既得権益者としての専任教員を批判せんでも、と思わなくもない。しかし、わざわざ博士まで進学し…
対談本と言うよりは、啓蒙本といった印象。 明確な対立軸が設定されて、対等な立場で議論しているわけではなく、苅谷氏がちょっと上の立場にいるようなので。苅谷氏の主張は、むやみに改革を語るのではなく、財政面や人材配置、あるいは学力という明確な基準…
日本の近代シリーズの1冊として書かれ、文庫落ちしたもの。 旧制高校の階層移動・文化戦略による意味づけを中心に、旧制高校の誕生や位置づけ、旧制高校的教養主義の戦後の再興そして終焉について描いている。 筆者は『立身出世主義』や『教養主義の没落』な…
原書のタイトル、"Four Sociological Tradition"の通り、社会学の伝統を大きく4つに分け、そのそれぞれの展開についてコリンズが語る本である。 社会学史が体系的にまとめられていて、分かりやすい本ってあまり見当たらないように思う。 けれど、この本は体…
その名の通り、経済学を教育という対象に当てはめた本である。たとえば矢野眞和先生の本が教育に経済学的な見方を当てはめるために、経済的な変数による教育の分析を行ったものであるとすれば、この本はややアプローチを異にしており、教育という対象に対し…
学会発表をしてきたところ、聞いてくださったらしいI先生から、潜在クラス分析をやってみたらというお言葉をいただき、この論文を紹介して頂いたので、読んでみた。どうやらカテゴリカルな変数における因子分析、みたいなものらしい。カテゴリカルな変数を、…
筆者の博論をまとめたもの。 教育費における、公私の負担構造に着目し、その負担の時系列的推移と変化、「公私混合型教育費負担構造」の出現の原因を検討したもの。 私費負担が増加していることはよく言われているが、実は一人あたりの公費負担も増加してき…
教育について考える黄色本シリーズ。 このシリーズを読むのは、広田・伊藤両先生の本、児美川先生の本についで3冊目だが、どの本も自分が勉強になるだけでなく、ほかの人にも読んで欲しい、と思うような本だった。 さて、本著だが、著者の教育に対する経済学…
著者の博論を加筆修正したもの。 筆者が指摘する通り、教育と選抜や大学進学を語るときにその対象とされるのは、ほとんどが学力試験・エリート選抜で、大学入学者の3割を超えるらしい推薦入試(AO含む)についてはほとんど論じられてこなかった。筆者はその…
ふと思い立って購入。いわゆるビルドゥングスロマン小説。セテムブリーニをそれほど好きではないのに(念の為にいっておくと、だからといってナフタに共感するわけではない)、ペーペルコルンが出てきた途端に、セテムブリーニ・ナフタ両氏と共同戦線を張り…
よりみちパン!セシリーズ。 子ども向けに書かれた本だが、湯浅さんの基本的な価値観や立ち位置がわかる良書。 メインテーマは貧困で、そこに若者や自己責任論などが絡んでくる感じ。これらのテーマの問題は、それについて深く考えずに、あるいは知ろうとせ…
シリーズ本の2作目。 どの論考もあまりこれまでの研究が引用されておらず、かつ過度に分析的でないのは、まさしく〈若者の現在〉を示そうとしたからか。 個人的には辻・藤田論文と中西論文が面白かったかな。若者の政治性は実はあまり語られず、〈非〉-政治…
近年流行りの格差社会論に対して、格差減少の正体は学歴分断線である、あるいは格差論と学歴社会論はきちんと分けて論じなければならないと主張する本。新書であるが故に、一般向けに書かれている。 しかし、あとがきで筆者も述べている通り、一般向けである…
理論家?ベックがグローバル化について論じた本。 グローバリティとグローバリズムの分類や再帰性とグローバル化の関連など、いくつか興味深いところがあった。 けれど、全体的にちょっと何言ってるかわからんオーラが...。 グローバル化の社会学―グローバリ…
Iゼミ用。 大卒学歴が将来の収入に与える影響についての論文。 経済学の分野では、合理的選択理論にもとづいて、利益を追求するために、大卒学歴が収入へ与える効果が最も大きいのは大学進学しやすい人々においてであると考える(らしい)。 大学進学を選択…
久々の更新。 大著であった。 ただ、論文をまとめたものであるにしては、やや冗長であるような気がした。 労使関係論や日本的雇用慣行についての知識が少ないため、この本を充分に理解できたとは全く思えないが、(学校と)職業の接続面について、細かく分析…
L研用。 今日のL研は面白かった。 政府に対応するものとしての市民社会、その内部に公共性が生起するという構図は分かりにくいけれど面白い。 ただ、やはり公と私と公共性などの区別が分かりにくい。 もう一度読み直せば分かるのだろうか。 公共性の構造転換…
ちくま学芸文庫バージョン。 教育と選抜がどのように日本において、どのように成立してきたのかについて、比較・歴史の手法を用いて描き出している。 日本の選抜システムは、比較的早い段階から学歴主義であり、公–私、普通–専門などの軸ごとの分化、さらに…
雨宮さんと萱野さんの対談本。 基本的には本人たちが書いていること、また他の人たちが書いていることをなぞるものであった。 でもやはり、貧困がアイデンティティの揺らぎを生み、それがナショナリズムや新自由主義と結びつくということは考えなければいけ…
Sゼミの文献。 過小評価について書かれた部分があったが、過小に見積もることは、一見マイナスしか生み出さないように見えて、実はWin-Win関係を生じさせるものなのかもしれない。 たとえばある事業を行うことのリスクを過小に見積もることによって、事業者…
L研用。 面白かった。 ウェーバーによると、プロテスタントは天職観念と禁欲主義によって富を蓄積するようになったために、資本主義の精神に親和的であったらしい。 ただ、富を蓄積することは不平等を肯定することになってしまう。 これは宗教的によくないの…