2014-01-01から1年間の記事一覧

ランドル・コリンズ『脱常識の社会学』

コリンズの社会学入門的著作。文庫本で買い直したので読み直し。1章で、社会学的な考え方として、契約・合理的社会の「非合理的基盤=人々の非合理的な連帯意識」について説明をした後、宗教・権力・犯罪・恋愛について、1章で論じた「非合理的基盤」の考え…

『モーターサイクル・ダイアリーズ』

チェ・ゲバラの若き日の旅行記を元にした映画。ケルアックの『オン・ザ・ロード』みたいな話かなと思って見始めたのだけど、そこは革命に奉じたゲバラの旅行記、共産主義者やハンセン病患者など、弱者と南米の現実が描かれている。終盤、ハンセン病患者を収…

小林泰三『玩具修理者』

表題作「玩具修理者」と、中編「酔歩する男」の2篇を収録。 「玩具修理者」は始まりから不穏。喫茶店の2人の男女、昼間ずっとサングラスをかけている理由を尋ねられた女性が、 子供の頃に体験した「玩具修理者」とのことについて語り始める。・・・衝撃。 プ…

連城三紀彦『戻り川心中』

日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞した表題作を含む5作を掲載した短篇集。謎が明らかになっていくミステリとしての側面もさることながら、やはり短編それぞれに花を表象として展開される恋愛と叙情の繊細な描写がよい。もちろん感情がそのまま記述される…

六冬和生『みずは無間』

第1回ハヤカワSFコンテスト大賞受賞作。無人探査機のAIである主人公の、探査の途中で出会った他のAIや自らが生み出した知性体Dとの情報交換(コミュニケーション)の物語に、地球にいた頃の常に何かを求めていた恋人みずはのエピソードが挿入される。 みずは…

アガサ・クリスティ『春にして君を離れ』

クリスティのノンシリーズ物。 娘の看病のためにバグダッドを訪れ、そこからイギリスに戻る途中の、「理想の家庭」を作り上げてきた中年女性が、大雨の影響で途中での滞在を余儀なくされ、物思いにふけるうちに、これまでの人生に対する認識が反転し…。主人…

山形浩生『新教養主義宣言』

プロローグのアジテーションが好き。欧米では教養が必須で、みたいな話はよく聞くけれど、 なぜ「教養」が必要なのかは分かるようで分からなかった。この本のプロローグで書かれているように、「教養って価値判断のベースになるもの」だからってのは一つの回…