蟹沢孝夫『自分を伸ばす会社 自分を殺す会社』

たとえば本田由紀先生だったら正規雇用非正規雇用間の大きな溝や周辺部の拡大そしてやりがいの搾取などを持ち出して声高に疑問を投げかけるだろうと思ってしまうようなそんな本。


確かに夢を追い続けてしまう人々が一定数存在することは大きな問題で、諦める、あるいは(周囲が)諦めさせることは必要だろう。


また、制度面・実態面双方で変わる必要があっても、まったく問題がない状況に達することなんてあり得ず、すり合わせをしていかねばならないことを考えると、この本のような存在は必要でかもしれない。


ただ、この本は立場に恵まれている人=「強者」のみについての本であることを前提として意識しておく必要がある。


立場に恵まれていない人にとっては、「引き分けに持ち込むこと」ましてよりよい転職を考えて「ブラックな」企業で我慢することは困難だと言えるからである。


ちなみに第6章の自己言及性について、筆者はどう考えているのかが気になる本だった。



自分を伸ばす会社 自分を殺す会社

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