吉川徹『学歴分断社会』

近年流行りの格差社会論に対して、格差減少の正体は学歴分断線である、あるいは格差論と学歴社会論はきちんと分けて論じなければならないと主張する本。

新書であるが故に、一般向けに書かれている。
しかし、あとがきで筆者も述べている通り、一般向けであるが故に、データによる論証が不十分である。
学歴分断線の存在が重要であると様々な指摘を通して論じられるが、その主張を補強するデータ、つまりSESではなく学歴こそが収入や意識などに影響しているとするデータがほとんど載せられていない。

まぁ、筆者は自身の『学歴と格差・不平等』を何度も引いているので、おそらくそこでデータによる論証がしっかりとなされているのだろう(早く読みたい)。

大事なのは学校歴でなく学歴である、と主張する論拠も載っているといいなぁ。



学歴分断社会 (ちくま新書)

学歴分断社会 (ちくま新書)