竹内洋『学歴貴族の栄光と挫折』

日本の近代シリーズの1冊として書かれ、文庫落ちしたもの。


旧制高校の階層移動・文化戦略による意味づけを中心に、旧制高校の誕生や位置づけ、旧制高校教養主義の戦後の再興そして終焉について描いている。


筆者は『立身出世主義』や『教養主義の没落』など、この手の本をいくつか書いているが、この本はおそらくシリーズの1冊だったこともあって、旧制高校に寄り添ってその歴史的展開を描く側面が強く、旧制高校という制度とそこに生じた現象を視点を広くとって描く形になっている。


筆者らしいエピソードから当時の人々の認識や意味を再構成していくやり方が、この本を読ませるものにしている。


それにしてもかっこいいタイトルと装丁だよなぁ。



学歴貴族の栄光と挫折 (講談社学術文庫)

学歴貴族の栄光と挫折 (講談社学術文庫)